実は、最初っから完結はしていた。
それは唐突にやってきた
実は、応募を考えたのは締切り間近の、忘れもしない3月20日のことでした。
なんとなく、公募に出したいな~プロ作家になりて~とは思っていたのですが、現在うつ病で休職中の身、そんなことができる体力がありませんでした。う~ん、やっぱ無理だわ(ヾノ・∀・`)ムリムリと一回昨年秋ぐらいで書くのを途中で止めてるんですね。
それが、丁度、病気が治りつつあることと、職場復帰が目前になってきたことで、引っ越しをし一人暮らしをはじめ、それが思いのほかイイ感じだったので(一人で自由気ままに生活するってサイコー!)、ふと思ってしまったんですね…そういや、わたしって公募のために小説書いてたよなって…
そして、なんとなく、目標にしていたというか、ラノベは電撃文庫くらいしかまともに読んだことが無かったのでそこしか知らなかったっていうアレですが、電撃大賞って締切りいつだったっけ?となったのでした。伏線回収です。
※いや、電撃文庫はそれだけしか読まなくなるくらい大好きなのです。『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』大好き。 最初のきっかけは『キノの旅』でした。
締切り目前で締切りを把握する
四月の頭だったような…とダメもとで調べてみると、なんと4月10日じゃないですか!
…あら、20日もあるぞ。
…これ、いけるな。(?)
なせ、ここで「いけるな」と思ったのかは、応募を無事(?)終えた今でも謎です。本当に根拠もクソも無い自信だけがそこにありました。
多分、自分を過信していたんだと思います。一番最初に公募に応募した過去作は、愛着はあるものの、作品としての出来は酷いものでした。今思えばです。あの時から比べれば、今書いている作品は全然マシだと思ったんですね。だから、短時間であっても仕上げるのは可能だと踏んだんだと思います。
仕上げるというのは、自分のこれが最高だと思える水準まで叩きあげることです。過去の作品を馬鹿にできるくらいの目が養えた。だから、その目を使って、手早く正確に直せるはずだと。
ただ一つ、救いだったこと
とはいえ、さすがに20日でイチから小説を書きあげるなんてことをしたわけではなく、私ができると踏んだのは、すでに完結済みの長編小説の手直しです。
どんなレベルの出来であれ、一行目から始まって最後のマルまでは書き上げている。小説としての体裁だけは整っている。登場人物の作り上げもできている。土台だけはある状態のものがペロンと横たわっている…そんな状況でした。
それに対して、応募作品としてふさわしい体裁を調えてあげることは、そう難しくない。なんなら、昨年の秋ごろまでは途中までではあるけどその作業を終えている…なおのこと必要な時間は少なくて済む…
と、理屈を並べて自分の判断は妥当だと言っているようですが…
実に計算が甘かったなと今になればそう思います。
応募するならさぁ…もっと早くから動こうよ…なんで20日前に思いつくんだよ馬鹿め…
推敲、推敲、推敲…
小説を書く上で一番大変な事とは?
小説って案外ハウツー本が結構沢山出版されています。こういう体歳で文章を書くんだよ!といろいろと技術を教えてくれるのですが…わたくし的に、そういう小手先だけ技術を身に付けたところで、まず書けないだろうなって感じ。
一番大変なことは教えられないと思います。
一番大変なこと、それは登場人物をいかにリアルに作り込めるかだとアマチュア小説家なりにそう思っております。たぶん、どの作家さんもここが一番の肝ですから、「わたしはこうやって作ってます!」なんて公表しないでしょう。ええ、もちろん、わたしも自分がどうやってる作っているかはトップシークレットです。
閑話休題。
まるで、ちょっと隣の町に住んで生きて生活をしていそうな匂いがする、人間臭い人間を作る、ということ言っているのですが、具体的に言えば性別、年齢、身長体重、趣味や嗜好などなど…そういうすべてを細かく積み上げて作り上げていく様は、もはや神様の人類創造に近いのでは?なんて思わないでもない。
結局、ココの作りが甘ければ、どこかで詰まります。
登場人物たちが動きを止めて、とても人為的ないわゆるご都合主義なお話になり下がるんですね。
…じゃあ、私が完結させていた小説ではどうだったのって、そんなの造りが甘々だったに決まってます。すべてをきちんと紙に書いてまとめていく作業が必要になりました。
考える時間と打つ時間
もしかしたらお察しの良い方は、それってもしかして考える作業の方が実際に書くより大変じゃないか?と…
その通りです。
考える時間の方が書く時間よりもずっとずっと多いです。
実際に文字を打って、十何万字の原稿になりました、というのは小説という芸術作品を作り上げる労力のうち、2割程度でしょう。だいたい、人に小説を書くんですというと、どれくらいの量の原稿を書くんですか?という話になり、百何枚ですみたいな話になると、それだけでヒエー!となるんですが、そうじゃないそうじゃない!
一番命を削ってやっているのは、その前の登場人物たちの創造です。
人間ってそんな単純な生き物じゃないです。矛盾を含んた不完全な存在。それを考えだす…普段の生活の中では合理的なものを求められがちですが…思うに、人間とは、こういう行動をとる人間とは、こういう性格を持つ人の本音とは…みたいな情報を、無意識に集めて覚えていて、頭の中のそれを辞典のように引きながら作っているんだと思います。そう説明するのが一番分かりやすい気がする。
…ね? 時間がかかりそうでしょ?
そして、この作業が一番つらい。けど最高に楽しい。(?)
自分の命が確実にすり減っている感覚(?)がします。見えない何かが減っている感じ。ここまでできれば、打つのは早いものです。(ゆえに私のタイピングはそこそこ早い。しかし手の使い方は我流でグチャグチャ。)
もはやゼロから書き直しレベル
そう、結論から言うと、ほぼ小説一本書き直したくらい設定を変更して、修正に修正を重ねまくりました…なにもかも甘かったんですね。なーにが20日あればいけるだよ、ぜんぜんいけねーわ。
最悪だったのは、一番の盛り上がりで起承転結の結です。ここはまるまる全てを削除して、イチから描き直す上に、書き直したものをさらに決してまた書き直すという、超難産でした。
そのときのわたしのTwitterはひどいもので…
こんなザマです…自分で自分を励まさないととてもじゃないけどやってられなかった…
通読ってこんなに時間かかったっけ(震え声)
真の長編小説
わたしは二次創作上がりのアマチュアなので、もともとの活動拠点はpixivでした。
本来はイラストを掲載するサイトですが、小説も扱ってるんですね。そこで二次創作をしていました。
こういうところだと、短編と言われる小説は、だいたい一万字ちょいくらい。長くても三万字あれば収まっているくらいでしょうか。長編に至っては、短編(1~3万字)×完結するまで本数(無制限)と言った感じで、正確に長編小説の定義がなされていませんでした。
…ということで、わたしは圧倒的に公募でいうところの長編小説経験値がほぼ無いんですね。
ちなに、公募で言うところの長編とは十万字超えですから、もう桁が一つ違います。別に、上記で申し上げた通り、字数を書く分には特に負担を感じないのですが、さすがに十万時単位になると大変です。さすがにここまで長くなると、書いている傍から最初ってどんな話だっけ?となっちゃう。書きながらストーリーの展開を矛盾なく進めて、伏線回収をし忘れることなく、最後でまるっとすべて完結するように組み上げるのは、なかなか頭を使います。負担アリアリです。
経験不足ゆえの段取りの悪さ
本来であれば、推敲も終えた完成された小説を、さらにじっくり時間を取って見直すのが良いのでしょうけれども、わたしの場合はそれをできるだけの時間の余裕が取れなかったんですね。
結局、見直しというのも憚られるような速さで通読をして、矛盾点を直してエイヤ!と応募した感じになってしまいました。そこが唯一心残りではあります。やはり、まだ長編公募の過酷さが身に沁みついていませんでした。しかし、ひとつこれで経験値が増えましたから、次回はもっと上手にできると思うの。
長編小説ですから、通読することすらかなり時間がかかる。ここが案外盲点でした。そりゃ、文庫本一冊手にもって最初の一頁目から赤線引いて行くようなものですから、時間かかって当然よね。
実は一番感謝したいひとがいる
お察しの通りの修羅場な20日間だったのですが、その間ずっと家でカタカタやっていたかというとそうでもなく、実は家の方が効率が悪かったのでした。集中力が切れて回復するまでの時間ロスが痛かった。
そこで、思いきって外で作業をしたのです。ノートパソコン抱えて。
お伺いさせていただいたのは第二拠点(現在実家を出て一人暮らし中。借りている1Kのマンションのこと。)から自転車で10分程のところにある某フランチャイズな喫茶店でした。
わたしはいつも、たっぷりのカフェオレ(スティックシュガーは小さいのを3本!)を頼みます。モーニングを付けるならAセットでパンにはジャム派。昼食だったらトマタマレタスサンドのコメチキ抜き。ケーキセットだったら…これはその時のラインナップによりますが、だいたいシロノワール。あと、ひっそりとメニューに載ってる珈琲ジェリーが好き。
…というくらい、そもそも好きな喫茶店ではあるのですが。ここで素晴らしいホスピタリティ溢れる接客に感動しつつ(なんであんなに素敵なんでしょうね…?不思議です)、尻に火が付いたアマチュア作家はガタガタガタガタとひたすら作業をさせていただいたのでした。
漫画家さんの取材記事などで、「喫茶店でネームを…」なんて読んだことがありましたが、ホント、外で作業すると心地よい緊張感があってすっごく進むのです。これは本当だった。
最終的に、顔を覚えていただけたようで、「コイツはPC抱えて長時間粘るヤツ」みたいになって、大きめの席を融通してくれたり…なんかしてくれました。本当に申し訳ないと思うと同時に、感謝しかない…!(その節はお世話になりました。また普通にお邪魔します~)
※こういう利用法は賛否両論かと思いますが…わたし的には長時間居る分お金をしっかり落としてるつもり…うーん…
はじめての電撃大賞の感想
これが登竜門ってやつか
電撃大賞って、前回だったら5,000近く作品が寄せられてるんですよね。最高賞は単純に1/5,000です。出版される作品としてはもう少し多いですが、それでもすごい競争倍率です。こんなに集まる文学賞ってそうそうないんじゃないのか。
そんなところに、わたしに一本が含まれて、長い長い選考期間を…と思うと、いやでも緊張します。こんな競争率の高いところにわざわざ突っ込んで、もっと別のところにすればいいものを…なんて思わないでもない。ドキドキハラハラ。
でも、わたしはあえて挑戦してみたかった。
こんなヤバいところで生き残れたら、それって本物ジャンって思ってしまった。
わたしが命を削って生んだ自慢の登場人物たちを見せるなら、やっぱりここでしょう、と。本気で1/5,000を狙って勝ちに行くしかないでしょ。
…という某少年漫画の主人公っぽく気合と根性でクライマックスを演出しつつ、web応募しました。 とても便利。たまにwebからの応募だと郵送よりも締切りが早かったりする文学賞ってあったりすると思うんですが、こちらは両者とも同じでした。
結果発表は秋ごろだってよ
せやねん~~~結果はすぐ出ないんですねそりゃそうじゃ、5000も小説集まって読むほうも大変じゃ。
一次選考~と続くんですが、その都度勿論結果は発表されるみたい。一次を突破できれば、寸評みたいなものも貰えるらしい。その他、どこまで進めば担当編集さんがかならず付きますとか、いろいろあります。幅広く採用があるのはいいね。
で、中瀬さん、結果をその都度見ていくんですか?なんですけど、わたし、そんな毎回胃を痛めながら見る自信は無いよ~~~怖いって普通に~~~ 多分、見ないと思います。最終結果だけ見て、はは~んってなって、自分の結果をそっから初めて探しにかかるスタンスでいこうとおもいます。
if 私が大賞を取った
ちょっと妄想しておこう。だって、本気で1/5,000狙ったから。選考には運も必要らしい。信じるために良い妄想をしようと思う。
まず、賞金が手に入りますが…これってわたし公務員なんですけど貰えるんですかね…(真顔) えーやだやだ!欲しいんですけど!300万円!用途指定されていようと、欲しいんですけど!300万円分の参考資料を買っても良いってことでしょ?(?)たくさん本を買いたいです。あと、執筆環境を整えたいですね。今はノートパソコンで全部作ってるんですが、ノートパソコンも持ちつつ、家ではデスクトップパソコンにして画面も大きくしたい。appleもいいけど、わたし的にはhpがいいかな。
担当編集さんが付くのかな。付いたらわたしって”先生”になるのかしら?いや~先生って呼ばれたくない~先生って敬称が付く人種に良い思いでないからさ~~~ 普通に”中瀬さん”とか”ひいなさん”とかでいいな~~~ とりあえず仲良くできて、わたしの価値観を分かってくれる人が良いな。それで、絶対に一発屋にならないように、また頑張るの。
…ちょっとはご褒美も良いのかしら。だったら、どこかに旅行に行きたいです。いつもは、交通費宿泊費お土産代諸々込みで5万円以内で行ってたけど、10万まで引き上げていいかしら。パスポートあるし海外でもいい。国内で贅沢に過ごすのもいい。なんかキラキラしたモノを見つける旅に出たいです。
そうだ、このブログの書籍化を持ち掛けないと。企画書を作ろう。公務員だけどうつ病になりましたみたいなネタで、こう、いい感じに。
印税が入ったら、とりあえず家族で美味しいもの食べに行きたいな。中途半端に高級じゃなくて、ちゃんと高級なの。フレンチはあんまり好きくないから、イタリアンとか創作和食とかそういうの。ちょっといい服を着てハイヒールかつかつさせて行くのです…
~妄想・完~
作品と引き換えにしたものがある
締切り翌日の救急車騒動
その日は普通に元気にしてたんですけど(ご褒美ということで、僕アカの映画をAmazonでレンタルして、近所のケーキ屋さんに行ったり)、夜になって体調が悪くなってしましました。
今も実は万全ではなくて、胃腸の調子が悪い。もともと、胃腸はそんなに強い方ではないのです。救急搬送された先の病院で貰った薬を飲んでます。
”命を削って”というのは、本当にそのまんまの意味なんです。
ちなみに、精神科の主治医からは、「そういうのは生き方の選択だからね」と言われました。やっぱり作家業をこなそうと思ったら、健康は…うん。「精神病を患った人が書く文章は普通の人とは違う」とも言ってくれました。まさかのプラス発言。だよね、わたしもなんとなく思ってた。だって太宰治センセ見てみろよって話。
命を燃やせ
とりあえず、わたしは書いていないと気持ちをうまく処理できないので、これから先も程度に差はあれど健康や命を引き換えに何かを作り続けるんでしょう。うまく、病気にならない程度のところでバランスを取っていきたいところです。
ちなみに、この命を燃やせというのは、わたしが作った言葉ではなく、引用なのでした。
『日常』という作品がありまして。わたしはそのアニメが大好きで、その一場面に「命を燃やせ」というセリフが流れる一場面があるのでした。
Twitterでは、ネタに共感してもらえたのか、それともお前もっと踏ん張れよとの激励か、たくさんの応援をいただきました。大変ありがとうございます。御陰様で、無事応募することができました。
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書いた人 中瀬一菜(なかせ・ひいな)
うつ病が原因で退職した元公務員。未婚・アラサー・障害者。
うつ病があっても自立した生活を送るために日々奮闘中。
Twitter https://twitter.com/ebihuraiumeeee
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