Sさんへ
うつ病から二年半の休養を経て、職場に戻ってきたわたしは、さぞ触れにくい存在だったでしょう。
わたしはあなたの可愛らしい笑顔が私は好きでした。笑顔が良く似合う女性だと思います。コツコツと仕事を進める姿は、とても格好良かったです。控えめなその性格故、声もチンマリとしていたけれど、毅然と応答する姿は、確かに公務員でした。わたしよりかはずっとちゃんとした公務員でした。
そんなあなたが、お休みすると聞きました。
病気休暇としか聞いていませんが、おそらくわたしと同じような手順でお休みを得たのでしょうね。
「お休みする」と聞かされる側に初めてなりました。なんてアッサリしたものなんでしょう。ちょっと驚きました。話の話題は仕事の分担。それだけ。あなたを気遣う言葉は出ませんでした。いいえ、出なかったというより、出さなかったのでしょう。どちらでもいいことですが。
わたしはあなたに何もしてあげられませんでした。できたのは、気遣うことだけ。声をかけることだけ。ひとつのハーブティーのパックを手渡しだけ。ごめんなさいね。でも、わたしもあなたに何かをしてあげられるほど、余裕はなかったし、そんなエライ立場でもなかったのです。まだ、うつ病は寛解していませんから。むしろ、症状としてはあなたよりも重いかもしれないから。立場としてはあなたよりもずっとずっと下だから。
だから、せめて、どうか、何も心配せずに心穏やかに、ただただ休暇を過ごされますように。
どんな病気を患っても、あなたがあなたであることは変わりません。何も変わりません。変わるのは、頭の中にちょっと上手く生きるコツをインプットすることだけ。あなたの人生はこれからも今まで通り続くし、いろんな未来が待っているのも変わりません。
だから、ゆっくり休養して、また元気な姿を見せてください。
どんな病気でも治すのは大変です。辛いことです。でも、絶対に諦めないで。辛いことを承知で言います、病気と戦ってください。
ぜんぶ乗り越えたあなたとあなたの素敵な笑顔に再会できる日を、待っています。
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書いた人 中瀬一菜(なかせ・ひいな)
うつ病が原因で退職した元公務員。未婚・アラサー・障害者。
うつ病があっても自立した生活を送るために日々奮闘中。
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